[토시키 아오야마] 2020년은 작가 미시마 유키오의 사망 후 50년이 되는 해이다. 지난 11월 21일 요코하마의 카나가와 현민 홀에서, 도쿄 발레단 귀재 모리스 베자르 안무의 「M」을 감상했다.

「M」은 미시마의 이니셜이며, 안무가 모리스 베자르의 「M」, 그리고 미시마의 작품을 논하는데 빼놓을 수 없는 "바다"를 나타내는 프랑스어 「Mer」, 그리고 「죽음=Mort」 등, 복합적인 의미를 담고 있다고 한다.

거장 모리스 베자르가 작가인 미시마 유키오를 소재로 창작한 이 작품은 1993년 세계 초연됐다. 해외에서도 호평을 받아 지금까지 파리 오페라, 밀라노 스칼라, 베를린 독일 오페라에서 공연되어 왔다.

「M」은 모리스 베자르(1927~2007년)가 「더 카부키」(1986년)와 같이 도쿄 발레단을 위해서 만든 오리지날 작품이다.

노벨 문학상 후보에 오른 국제적 작가 미시마 유키오는, 지금부터 정확히 50년전인 1970년 11월 25일, 자위대의 도쿄 이치가야 주둔지에 탑승해 자위대원에게 결기를 요구했지만 실현되지 않자 할복 자살을 이루었다. 소송의 취지는 헌법 개정이었으며, GHQ로 인해 약화된 일본의 현황을 걱정하며 충격적인 최후를 마쳤다.

미시마의 최후는 미스터리한 부분도 많지만, 천황을 중심으로 하는 일본의 전통, 문화, 역사를 지키겠다는 미시마의 결의, 신조, 미학, 그리고 뛰어난 문학 작품등에 끌리는 사람은 지금도 끊이지 않고 있다.

작품의 무대는 바다 장면으로 시작한다. 파도 소리를 표현하는 여성 무용수들의 찰떡궁합인 콜드 발레가 아름다웠다.

미시마를 상징하는 소년이 나타나 분신으로서Ⅰ-이치, Ⅱ-니, Ⅲ-산, Ⅳ-시가 등장. 미시마의 4명의 분신은, 남성 프린서펄 댄서 츠카모토 탄, 미야가와 아라타, 아키모토 야스오미 3명과 신진 기예의 댄서로서 주목받고 있는 이케모토 쇼마가 연기하고 있었다.

이케모토 쇼마가 연기하는 Ⅳ-시는 「죽음」을 의미하며, 미시마가 서서히 죽음에 권유되어 간다. 미시마의 분신을 연기한 4명의 댄서들의 댄스와 표현력이 백미였으며, 특히 삶과 죽음의 사이에 있는 갈등하는 미시마의 삶과 미학을 훌륭하게 연기하고 있었다. 작품 전체의 완성도가 높고 깊이도 있어 출연 후 커튼 콜에서도 큰 갈채를 받았다.

음악은 피아노와 특별 레코딩 음원이 사용되었다. 피아노는 일본인 최초로 모차르트 국제콩쿠르에서 우승한 키쿠치 요코가 맡아 작품을 더욱 찬란한 것으로 승화시키고 있었다.

극작가이기도 한 미시마 유키오는 에세이 「끝의 미학」 속에서, 다양한 사물의 「아름다운 끝」을 논하고 있지만, 천재라고 일컬어지는 미시마의 사생관과 미학을 접할 수 있는 뛰어난 무대였다.

[Photo(C)Kiyonori Hasegawa]

The Tokyo Ballet "M"

Choreography, Direction, Costume concept: Maurice Béjart
Music: MAYUZUMI Toshiro [Original], Claude Debussy, Érik Satie, Johann StraussⅡ, Richard Wagner, L.Poterat/ D.Olivieri

Performance Dates
November 21 ,2020

Venue
Kanagawa Kenmin Hall

CAST

Ⅰ- Ichi TSUKAMOTO Dan
Ⅱ- Ni MIYAGAWA Arata
Ⅲ- San AKIMOTO Yasuomi
Ⅳ- Shi(death) IKEMOTO Shoma
Saint Sebastian HIGUCHI Yuki
Woman UENO Mizuka
Moon on the water KANEKO Hitomi, Moon on the water
Orange OKI Kanako
Rose MASAMOTO Emi
Violette KAWASHIMA Mamiko

Piano: KIKUCHI Yoko

2020年は作家・三島由紀夫の没後50年にあたり、11月21日神奈川県民ホールで、東京バレエ団 鬼才モーリス・ベジャール振付の「M」を鑑賞した。

『M』は三島のイニシャルであり、振付家モーリス・ベジャールの「M」であり、三島作品を語るうえで欠かせない”海”をあらわすフランス語の「Mer」、そして「死=Mort」など、複合的な意味をこめられているという。

巨匠モーリス・ベジャールが作家である三島由紀夫を題材に創作した同作は1993年に世界初演された。海外でも好評を博し、これまでパリ・オペラ座、ミラノ・スカラ座、ベルリン・ドイツ・オペラで上演されてきた。

『M』はモーリス・ベジャール(1927~2007年)が『ザ・カブキ』(1986年)と同様に東京バレエ団のために創ったオリジナル作品である。

ノーベル文学賞候補にも挙がる国際的作家の三島由紀夫だが、今からちょうど50年前の1970年11月25日、自衛隊の東京・市ヶ谷駐屯地に乗り込んで自衛隊員に決起を求めたが叶わず割腹自殺を遂げた。訴えの趣旨は、憲法改正。GHQにより弱体化させられた日本の現況を憂い、衝撃的な最後を遂げた。

三島の最期はミステリアスな部分も多いが、天皇を中心とする日本の伝統・文化・歴史を守るという三島の決意、信条、美学、そして優れた文学作品等に惹かれる人は今も後を絶たない。

舞台は、海のシーンから始まる。波の音を表現している女性ダンサー達のピタリと揃ったコールドバレエが美しい。

三島を象徴をする少年が現れ、分身のⅠ—イチ、Ⅱ—ニ、Ⅲ—サン、Ⅳ—シが登場。三島の4人の分身は、男性プリンシパルダンサー柄本弾、宮川新大、秋元康臣の3名と、新進気鋭のダンサーとして注目されている池本祥真が演じている。

池本祥真が演じるⅣ—シは「死」を意味し、三島が徐々に死に誘われていく。三島の分身を演じた4名のダンサーたちのダンスと表現力が白眉。生と死のはざまにあり葛藤し続ける三島の生き様と美学を見事に演じていた。作品全体の完成度が高く、奥行きもあり、出演後のカーテンコールで大きな喝采を受けていた。

音楽はピアノと特別録音音源が使用された。ピアノは、日本人として初めてモーツァルト国際コンクールで優勝した菊池洋子が担当し、作品をさらに輝かしいものに昇華させていた。

劇作家でもあった三島由紀夫はエッセイ「おわりの美学」の中で、さまざまな物事の「美しいおわり方」を論じているが、天才と言われる三島の死生観と美学に触れることができる優れた舞台だった。